2019年1月15日

明けましておめでとうございます。

皆さん、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。  

 

 

 米中経済摩擦から、自然災害、それにIT社会の到来など、予測不能の未来に、強く、賢く、優しくかつ、たくましく生きていく知力と体力を持った子供たちを育てる仕事も、ますます難しく、それだけ重要性を帯びてきています。地球の温暖化に伴う気圏の不安定化に伴う、巨大台風や洪水、津波、熱波に乾燥化、飲料水や農業用水の不足の時代の到来は容易に予想がつきますが、これに加えて、日本では東南海地震、火山活動など予測不能の、しかし150年以内の確率といえば、近い将来におこる危機は高いといえるものが、やってきます。このような事態の淵にあって、経済も不安定化し、武力を振り回す人たちが声を張り上げ、戦争はどこでも簡単に勃発する可能性があります。スノーデンの警告にも明らかなように、情報漏洩や情報操作も驚くべき技術に達しています。最近注目されている「ホモ・デウス」という本の著者も書いていますが、世界が情報操作に秀でた、少数の神のような人々と、それに操作される大多数の家畜のような人々に分極するという警鐘が聞こえます。

 

 

 温暖ガスの排出も止まりそうになく、さらに温暖化が続くとシベリア凍土の下のメタンが放出されると予想され、このメタンは二酸化炭素より一層の温室ガスですから温暖化は加速されるでしょう。地球に降り注ぐ太陽光、したがって熱は、惑星アルベドと呼ばれる反射によってある部分宇宙に蹴り返されますが、このアルベドはもし地球が雪に覆われて白ければ大きくなるという性質ですから、逆に極地や高山の雪がとけてくると地球がこれを吸収することになるでしょう。すると一層雪が解け、というサイクルに入ります。このようなフィードバックは地球を過去に何回か全球凍結に導いたといわれています。これが逆回転する時温暖化となります。このプロセスは考えられるよりずっと早く大規模に起こります。

 

 

 このプロセスは確実に予想されることです。確実でないものも、これに連鎖したりしなかったりで、やってきます。私は、東北だけでなく淡路阪神大震災も経験していますので、このことは実感できます。東北の時は地震と津波と、原発事故が連動しました。普通はあり得ないコンビネーションですよね。しかし、起こったという事実は否定できません。田舎の方では人口の急激な減少が進んでいます。学校や幼稚園がどんどん廃校になっています。生物多様性もどんどん失われています。日本はどこに向かって進んでいくのでしょうか?放っておくと怖いことが起こりそうです。

 

 

 私の母は今年、95歳。昨日定期診断に病院に連れて行きました。そうしたら、壁にポスターが張ってありました。スマホの実害について書いていました。スマホの過使用は、第一に視力を悪くする。学業成績、運動能力、社会的なコミュニケーション能力にかなり大きな実害が現れると書いていました。世の中なんでもバーチャルになって、しかも情報は上から一方向的に流れていってしまう。自分の見ているものが、何で、それは、どこから来てどこへ行くのか、システムはどういう関係にあるのか、なぜそれは働くのか、と自分で感じ、考え、やってみることを生活のスタイルとして身に着けていくことが重要です。そして、そのうえで、両親の語る、あるいは幼稚園で先生に習う、よい物語を聞き、あるいは自分で読み、それを自分の世界に取り入れていく必要があるのではないかと思います。約束を守ること、うそをつかないこと、正しいと思ったことから逃げないこと、友達を裏切らないこと、弱い人や動物を優しく守ること、見栄をはったり、威張ったりしないこと、など人間生活の中で大事なことは、そういう物語の中で身につくのではないかと思います。

 

 

 C.S.ルイスの「ナルニア国物語」、トールキンの「指輪物語」、アーシュラ・レ・グインの「ゲド戦記」など優れたファンタジーがありますし、マーク・トウェインの「トム・ソーヤ―」と「ハックルベリ・フィン」の物語、C.Wニコルも「裸のダルシン」など良い子供向けのお話をたくさん書いています。プルタークの英雄伝なども子供の時、わたしも読んで大いに興奮したものです。私の大好きな「ドリトル先生」シリーズも大変すばらしい本だと思います。それに、忘れてならないのが宮沢賢治の童話と「ファーブル昆虫記」です。ピノキオの子供たちが自分で読むにはちょっと早いかもしれませんが、ご家庭で、少しずつ話して聞かせてあげるとよいと思います。宮沢賢治は、童話だけではなく、絵もかくし、「飢餓陣営」というコミック・オペレッタというものもつくって、作曲もし、踊りもつけたりもしています。一度やってみたらおもしろいかもしれませんね。音楽がはいってくるのは、ジャン・ドゥ・ブリュノフというフランス人の書いた「ゾウのババール」という絵本で、朗読付きの素敵なCDとして売り出されています。ピーター・ユスチノフというイギリスの名優がフランス語を読み、同じテキストを日本語で、忌野清志郎がやっています。音楽は、フランシス・プーランクです。なんと豪華な!

 

 

 直接子供たちに与えるのは、絵本になるかと思います。良い絵本は子供に大切であるだけでなく、大人の心も幸せにしてくれます。初山滋の美しい挿絵の入った「アンデルセン童話」、佐野洋子「百万回生きた猫」、長新太の挿絵がおもしろい「おおさまと卵焼き」のほか、「アルバートのアルファベット」「カラスのパン屋さん」、エリック・カールの「腹ペコ青虫」も私の子供たちも擦り切れるまで使い倒しました。

 

 

 最近、小学生の女の子がプロ棋士になったと話題になっています。囲碁、将棋、それにチェスも子供たちの知力を高めるのにいいと思います。碁石と碁盤を購入しましたので、次に持っていくことにします。初めは五目並べでもいいと思います。私の息子も小学生の時、碁を教えたら私が勝てなくなってしまいました。新聞の碁の懸賞募集に応募したら、関西棋院から2段をやるといわれました。ただし、それには7万円納めなくてはならず、勿論やめましたが、納めていたら今頃???服部理事長の趣味はチェス盤のコレクションだそうですから、チェスはそのうち理事長が教えてくれるでしょう。子供はあっという間にマスターして強くなりますよ。

 

 

 絵もどんどん描いてみましょう。お家の人の顔とか、昆虫の絵でもおもしろいです。そのうち、それに自分でお話をつけたりするともっと面白くなります。詩を付けるのも面白いですね。

 

 

 外は寒いですが、寒いなら雪の上で、ソリやスキー、スノボをやることが出来ます。私は三重の出身でスキー場が近くになかったから、初めてスキーに行ったのは大学4年生でした。だからスキーはうまくありませんし、今やったら骨を折ってしまかもしれない。スノボなんかはそもそも存在していませんでした。でも、大学の1年生の体育の授業で、スケートがあったから、スケートなら滑れると思います。チャンスがあったら行きましょう。お父さん、お母さん、園でいけなくても子供たちにウィンター・スポーツを教えてあげてください。子供たちが大人になった時にこういうことを教えてもらっていたら、きっと感謝されるでしょう。

 

 

 では、これから一層の寒さに向かいますが、寒さにめげないでがんばって春を迎えましょう。今、夜の空には、冬の大三角(逆三角形)を形成する大きな3つの星が、オリオン座の肩を構成するペテルギウスを右の頂点として見ることが出来ます。ペテルギウスは変光星で、なぜ明るさが変わるかというと、実は、これは2つの星がタンゴを踊りながらさらにぐるぐる回っているからです。なぜ、大きい方の円周が形成されたかというと、昔、タンゴの踊り手を取り巻いて、もう一つ星があったからだろうと考えられています。今はそれはどこかに消えたが、昔はそこにあったと考えるのが、一番うまくすべてが説明できるのだそうです。オリオン座は腰のところに3連星があり、腰から下には、暗黒星雲を含めた、M何とかと呼ばれる星雲がたくさん見られます。ハッブル望遠鏡で見ると大変美しいものです。冬は寒いですが、その中でも目を凝らすといろいろ、美しいもの、楽しいものが現れているのです。それを自分で見つけ、それにまつわる理論や物語を学ぶことによって、自然は一層、身近になるし、科学的探究心も育てられると思います。お家の人達も、できたら本屋かどこかで星座早見盤を購入して、子供たちと一緒に星座や惑星の世界を楽しんでみてください。