2017年4月25日

園長先生のお話(園児・保護者の皆様へ)

 園長先生のお話(園児・保護者の皆様へ)

 

 ピノキオ幼稚園・園長の竹田真木生です。園児の皆さん、保護者の皆さん、新しい学期が始まりました。秋は、自然の様相も急速に変化します。植物は実を結び、種子を形成します。葉が色づき、落葉が始まります。動物たちは冬を乗り切るためにたくさん食べて栄養を蓄積します。茶色のうさぎやてんが白くなったり、夏の間は黄色かったチョウが暗い色になったりします。このような季節の移り変わりを生物たちはどのように知るのでしょうか?季節の変化の最も確実なシグナルは日の長さ、あるいは夜の長さです。日の長さを読むことで季節を知る能力と、それによって生活史や渡りなどの行動を制御することを光周性と呼びます。その測定装置を光周時計と言います。光周時計は動物では脳にあって、その指令の下に行動や、発生、体色、形態などのスウィッチがオンになったりオフになったりします。そのような決定がどうして形成され、どのように指令が伝えられるか、脳の中のことですから外から観察することは難しいですが、最近生物たちの遺伝子の構造が明らかになり、それを操作することも少しずつできるようになってきました。私は、コオロギや、ゴキブリや、カイコや、ミツバチや柞蚕(サクサン)などいろいろな昆虫を使って昆虫たちがどのように環境条件(光周性の場合は日長)を認知し、それに対応して彼らの生存を最大にするかという研究を行ってきましたが、最近柞蚕でその仕組みを解明しました。また機会があったら詳しい話をさせてもらいます。

 

 秋は空もはれ上がってきて星座の観察もしやすくなってきます。さそり座などの夏の星座と、夏の大三角を形成する明星たちが退場し、冬の大三角と冬の代表的な星座オリオンの登場を準備します。星にも寿命があって、赤い大きな星ができ(赤色巨星)それが爆発して白色矮星までの星の一生を子供たちに語ってやってください。そのような星の一生を太陽もたどっています。今太陽は中年でこれからますます大きくなって地球の軌道を飲みこむようになっていきます。やがて銀河系宇宙も、アンドロメダ星雲と衝突あるいは合体するといわれています。気の遠くなるような未来のことですが、私たちの住んでいる世界は絶えず変化していくのは事実です。子供たちの好奇心を刺激してあげてください。この時期の子供たちの感受性は、その人の人生を決定するほど大きいものです。保護者の方も子供たちに誘導されながら、いろいろな疑問を形成し、解明していってください。いろいろなお話を作り聞かせてあげてください。

 

<最近の活動>
 兵庫県佐用町というところに、石井保育園というのがありました。今全国的に日本の人口は急激な下降線をたどっています。「ありました」というのは、この保育園も実はそのような陰圧で閉園になってしまいました。町の再開発計画の一環として、ここに昆虫資源研究所・クリケットファームを開所します。この辺りはタガメやゲンゴロウなど稲作と結びついた里山の昆虫がまだ細々と残っています。彼らの命を守るためには里山と人による農業活動が必須です。研究所はこうした過疎集落の活性化を目指し、あわせ地球人口の爆発的増大に対処するためFAO勧告が出されましたが(昆虫食の開発)、その実現のために地球の最後の未利用資源昆虫の資源利用技術の開発をはかります。共同研究者の早稲田大学葦苅君および早稲田大学先端医科学センターとの共同研究が始まります。
 日本昆虫学会の大会(松山9月2日)で、マダラスズという小さなコオロギについての私たちの研究が論文賞として表彰を受けました。北海道の地熱地帯で冬でも鳴いているコオロギの研究です。ここでは冬にミンミンゼミも鳴くのです。
 日程未定ですが、文化放送ラジオで司会のアーサー・ビナード氏と対談の予定です。ビナードさんは日本語で詩を書く不思議なアメリカ人です。日本人より日本語がうまい!
 私の元学生2人が出版業界で話題です。一人は、このミス大賞の岩木一麻と「バッタを倒しにアフリカへ」の前野浩太郎両君です。岩木はペンネームですが。